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「中國式現代化」から「一帯一路」まで——新思想が実を結んだ10年
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橫浜國立大學名譽教授 村田忠禧(談) · 2022-10-11 · ソース:人民中國 |
タグ: 黨大會;中國共産黨;政治 | ![]() 印刷 |
2017年開催の第19回中國共産黨全國代表大會(第19回黨大會)では、「習近平新時代の中國の特色ある社會主義思想」が正式に確立された。この新たな思想は、習近平氏が12年に中國共産黨中央委員會の総書記に選出されたときに誕生したものだ。
中國はこの10年にわたって、新思想の中で言及した「人民中心」を実踐し、黨員の思想教育、反腐敗闘爭、サプライサイド改革、貧困脫卻の堅塁攻略戦、新型コロナウイルスとの闘いなどを展開し続けてきたが、中でも最も印象的だったのは、法治國家建設における數々の実踐だった。
法治社會で守る國民の自由
第19回黨大會では「初心を忘れず、使命を胸に刻む」という提唱がされたが、私はこれが非常に重要なことだと思っている。中國共産黨は成立以來100年、執政黨としてすでに70年以上たったが、成立當初は革命黨だった。すなわち黨員にとっては、共産黨に入ることは命を黨に預けることであり、いつ死ぬかもしれないという大変な危機の中で活動してきたのだ。ところが執政黨になり、とりわけ豊かさを追求することを肯定する改革開放の時代になり、思想建設が疎かになってきた。黨員は本來なら民族や國家、人民のために入黨したはずなのに、その使命を忘れて、個人の利益や一部集団の利益を優先させるような考え方が黨內にかなり広く見られるようになった。
これは非常に危険だ。中國を滅ぼすのは外部の勢力ではなく、內部の、特に共産黨の中の腐敗した勢力ではなかろうかと思っていたが、今までその問題解決になかなか手が付けられなかったのだ。
それが習近平時代になってからは「虎もハエもたたく」を旗印に、本格的に取り上げられるようになった。これは、どれだけ高い地位にある指導者でも、不正をすれば捕まるが、末端幹部の腐敗も見逃さず、徹底的に正す、という意味だ。腐敗の取り締まりはもちろん、腐敗を未然に防ぎ、腐敗発生を考えることすらなくすという勢いで、真剣な腐敗撲滅が始まった。
その過程で、法治社會の建設が大きな課題になった。習近平の時代に入り、法治への考え方が非常に行き屆いたためにさまざまな法律ができた。國法にとどまらず、黨を拘束するための黨內條例も整備され、現代的な國家の條件が次第に整えられつつある。法律があれば、人々が守るべきものは何なのかが明確になり、人々の行動はむしろ自由になるのだ。
21世紀に入り、中國は豊かになってきたと思う。豊かになると、人々の要求がさまざまになる。今までは貧しさからの脫卻ということで、自分のやりたいことを我慢しなければいけない面がかなりあったが、今は自分のやりたいことや夢を実現できる可能性が生まれてきた。その際に守るべきもの、つまり個人の夢と全體の利益をどのように調和させていくか、どう実現するかを考えた場合、法を遵守する精神が根付くことが重要である。今、中國は法治社會へと積極的に向かって進歩しているのだと思う。共産黨はとかく獨裁政権だと言われがちだが、そうではない。今の中國がやっていることは、法治國家の建設である。
「中國式現代化」の経験
昨年、中國は小康社會(ややゆとりのある社會)の全面的完成を発表し、その他の分野でも、いわば「中國式現代化」を進めてきた。
社會主義の道を歩む「中國式現代化」と資本主義近代化の大きく違う點は、政治體制だ。社會主義と資本主義の違いは選挙の有無だとよく言われるが、中國の人民代表大會は日本の議會とは制度的にもかなり異なる。日本の議員は専門職で給與が出る。その給與も非常に高額で、以前問題になったように、1カ月の通信交通費だけで100萬円は出る。法律で決まっている國會議員の給與と各種手當を合わせるとは年間4000萬円とも言われ、決して一般労働者の賃金と同等に考えることはできない。
しかし中國の場合は、人民代表になったからといって給與が別に出るわけではない。まさに人民の代表として毎年集まるということだけだ。
また、中國は多民族國家だから、少數民族の権利を守らなければならない。対して日本は人間は平等でなければいけないという立場と原則があり、「一票の格差」があってはいけないとされている。しかし、中國では人口の約91%、約12億人が漢民族で、1萬人にも満たない少數民族が9もあり、最も少ない民族はわずか3500人足らず。日本と同じ原則を採用したら、少數民族が恒常的に負けてしまう。中國は少數派の意見をも反映させ、民族としての尊厳を守るために、どの民族からも最低1人は全國人民代表大會の代表に出すという方針をとっている。つまり中國は実質的な平等を目指している。それに対し資本主義社會は、形式的な平等を重視する。そこが中國の社會主義社會と日本の資本主義社會との違う點の一つではなかろうか。
それでも日中両國は體制の違いを乗り越え、互いに學び合うことが本當にたくさんあると思う。例えばコロナ問題。日本では今まで感染者が少なかったが、最近になって急速に増えている(今年8月現在)。それは十分に対処できていない部分があるからだ。
20年1月、中國では武漢で大変な広がりがあったが、2週間ほどの短期間で野戦病院的なものを作って対処し、さらに二つの大きな集中病院を作り、徹底的にコロナと闘った。さらに全國から醫師や看護師などの醫療部隊が「{たい?こう}対口支援」方式で地域を分擔し、救援に當たるなどしている。つまり、中央政府の果たす役割が非常に強いのだ。
逆に、日本は地震大國のため、地震の際にどうすべきかについては、かなり経験があり、それを中國が一生懸命學んでいる。08年の四川省の汶川大地震は代表的な例で、中國は汶川を3年で一応復興させることができた。しかし日本の東日本大震災の復興は、10年かかってもまだ十分とはいえない。中國がなぜそんなに早くできるかというと、支援パートナーを決め、お互いが競い合うように支援建設に協力する「対口支援」を採用しているからだ。そういうシステムも、日本はもっと學ぶべきだろう。
第二の深圳になりつつある新疆
他に國際社會から大きく注目されているものといえば、13年に提唱された「一帯一路」だろう。「一帯一路」は陸のシルクロードと海のシルクロードで中國と世界を結び、今後も恐らくインフラ建設が中心になると思われる。現在、私が非常に注目しているのは、陸のシルクロードの部分だ。新疆ウイグル自治區(以下、新疆)が出入口となり、歐州や中東にまで延びようとする鉄道や貨物などのルート(中歐班列)ができている。まだ始まったばかりではあるが、鉄道を使った物資の輸送は、これからますます盛んになっていくだろう。
中國一帯一路網によると、ベトナム―中國間の路線が中央ヨーロッパの中歐班列と結び付くようになり、ASEAN諸國と歐州を結び付けたという。こうして鉄道網がだんだん広がり、中國內陸部の、今まで海外との結び付きが直接なかったようなところが、鉄道路線でラオスなどの諸外國との結び付きを持つようになっている。さらにインドネシアまで延び、中國國內では重慶や四川などの內陸を中心に、歐州や東南アジアの國々と結び付くことが期待できる。今年1月から地域的な包括的経済連攜(RCEP)という中國、韓國、日本が入った貿易圏が誕生したため、今後はますます伸びるだろう。現在非常に活力があるアジアが歐州などと結び付き、その中核が中國だという図式を、われわれはよく意識する必要があると思う。
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